災害に強い引越し先とは?安全のために知っておきたい防災対策

日本は「地震大国」と呼ばれるなど、自然災害に多く見舞われている国です。

山間部では土砂崩れや洪水、海の近くでは津波や高潮、地盤が緩いエリアでは液状化などさまざまな危険が……。

引越しをするのなら、転居先のエリアや建物をしっかり見極めなければなりません。

本記事では災害に強いエリアを見つけるためのチェックポイントと、その後の防災対策について紹介しています。

転勤やライフステージの変化により引越し予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

引越し前に知っておくべき災害対策

これから引越しをする方は、最初に以下の3点をチェックしましょう。

  • 耐震基準を満たした建物を選ぶ
  • 災害に強いエリアを選ぶ
  • 現地で周囲の状況を確認する

これらのポイントを意識せず転居先を選んでしまうと、自然災害による建物の倒壊や命を脅かされる危険性があります。

では、各項目ついて詳しくみていきましょう。

耐震基準を満たした建物を選ぶ

転居先の建物選びのポイントは、耐震基準を満たしているかどうかです。

耐震基準とは、地震による揺れに建物が耐えられるように定められた基準(建築基準法)のこと。

1950年に建築基準法が制定されて以来、以下の地震の影響から何度も改正が行われました。

影響した地震改正した年主な変更点
十勝沖地震
(1968年)
1971年柱の強度を上げる 住宅の基礎をより強固な種類に変更
宮城県沖地震
(1978年)
1981年外部から加わる力への耐震性アップ 地盤に合わせた設計 高層建築のねじれを防ぐ設計
阪神淡路大震災
(1995年)
2000年木造住宅に関する大幅な見直し 地盤調査の義務付け 耐力壁の配置バランスの規定

上記の通り、改正ごとに建物の耐震性・安全性は向上しています。

地震発生時のリスクを下げるためには、改正後に建築された建物を選ぶことが一つの防災対策といえるでしょう。

災害に強いエリアを選ぶ

災害に強いエリアとは、大雨時の洪水や地震による土砂崩れなど自然災害による影響を受けにくい場所を指します。

どれだけ建物が新しく耐震性が高いものでも、土地自体が災害に弱ければ意味がありません。

エリアの災害危険度を測るには、ハザードマップの利用がおすすめです。

ハザードマップや防災に関する便利ツールについては記事後半で詳しく紹介しているので、そちらを参考にしてください。

現地で周囲の状況を確認する

引越し先の目星がついている場合は、実際に現地を訪れて周辺の状況を確認してみましょう。

近くに避難所や大きな病院があれば、いざという時でも安心です。

反対に高層建築物や木造住宅に囲まれている場所は、建物の倒壊や延焼による大規模火災の危険度が高まります。

現地まで行くのが難しい場合には、Googleマップなどを活用してみてください。

ハザードマップで分かる災害危険度

災害に強いエリアを見つける際に役立つのが、国土交通省が発行しているハザードマップです。

「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。防災マップ、被害予測図、被害想定図、アボイド(回避)マップ、リスクマップなどと呼ばれているものもあります。
(引用元:国土交通省 国土地理院

ハザードマップの被災想定区域に含まれないエリアを選べば、自然災害時のリスク軽減に繋がります。

マップは紙面だけでなくインターネット上でも公開されているため、ぜひチェックしてみてください。

また国土交通省のハザードマップ以外に、市区町村や民間企業が情報を提供している場合もあります。

たとえば、群馬県の場合、建設技術研究所による「かわみるぐんま」で予想降雨や濃霧注意報などが確認可能です。

ここでは主にハザードマップについて解説しますが、引越し先のエリアが決まっている場合には市区町村の防災マップもチェックしてみましょう。

以下、ハザードマップで確認できる自然災害について簡単に紹介しているので、こちらも併せて確認してください。

洪水・内水

洪水・内水とは、河川やマンホールから水が溢れたことで起きる水害を指します。

被災エリアでは家屋の浸水・河川の氾濫による事故などの危険があるため、引越し先にはおすすめできません。

土砂災害

山や崖の近辺では、地震や大雨などが原因で発生する土砂災害に注意が必要です。

周辺一帯を根こそぎ破壊する威力があるため、新耐震基準を満たした建物でも巻き込まれれば無事ではすみません。

ハザードマップでは危険度が高いエリアを「土砂災害警戒区域」として表記しているため、該当エリアへの引越しは避けた方が良いでしょう。

高潮・津波

沿岸近辺では、海の高潮や津波による水害に注意が必要です。

家屋への浸水や破損が起きれば、復旧までに相当の時間や費用が発生します。

また水の力は非常に強く、30cm以上の津波が来れば自分自身が流される可能性も出てきます。

どうしても海の近くに住む必要がある場合には、高台を選ぶなどの工夫をしましょう。。

地震

地震による被害は家具の転倒から建物の倒壊、ライフラインの遮断など多岐に渡ります。

居住地によっては津波や土砂崩れが発生する可能性もあり、最も注意すべき自然災害といっても過言ではありません。

地震の想定は難しいものの、引越し前に地盤をチェックすることで防災効果が期待できます。

地盤が弱いエリアは揺れやすく、建物の倒壊や液状化などのリスクがあるため要注意。

ただしハザードマップでは地盤の情報がないため、「引越し先の市の名前+地震+マップ」などで各市区町村や民間企業の情報をチェックしてみてください。

引越し後に行うべき災害対策

引越し先が決まり転居が完了したら、なるべく早めに以下の防災対策も講じておきましょう。

  • 防災グッズを用意する
  • 家具の転倒防止対策をしておく
  • 避難場所を決めておく

これらを実施しておくかどうかが、生死を分けることになるかもしれません。

各対策のポイントを以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

防災グッズを用意する

災害が発生した後、衣食住に困った場合に役立つのが防災グッズです。

すぐに持ち出せるバッグに、非常食や医薬品など生命維持に必要なものを詰めておきましょう。

最近では、必要ツールがセットになった防災リュックも販売しています。

防災に必要なものを1から詰める時間がない方や何を揃えれば良いか分からない方は、家族分のセットを購入しておくと安心です。

家具の転倒防止対策をしておく

地震が起きた場合に備えて、家具には転倒防止対策をしておくことも大切です。

タンスのような大型家具の場合はとくに危険性が高いため、壁への固定や天井の間に突っ張り棒を立てるなどの工夫をしておくとよいでしょう。

最近では100円均一などでも耐震マットやガラスの飛散を防止するシートなどを扱っているため、上手に取り入れてみてください。

避難場所を決めておく

災害が起きて自宅にいることが難しくなった場合に備え、避難場所も決めておきましょう。

避難所の情報はハザードマップで確認可能です。

主に学校や公民館など、多くの人を収容できる公共施設が避難所として指定されています。

住居周辺に複数の避難所がある場合もあるため、家族がいる方は事前に避難場所を決めておくと安否確認がしやすく安心です。

災害に備えて最適な引越し先を見つけよう

災害はいつどこで起こるか分かりません。

「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、普段から防災を心掛け自然災害に備えておくことが大切です。

本記事で紹介したハザードマップの利用や対策方法を実践し、自分や家族の命を守りましょう。